この条例は、住宅の賃貸借に係る紛争を防止するため、原状回復等に関する民法などの法律上の原則や判例により定着した考え方を宅地建物取引業者が説明することを義務付けたものです。 |
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この条例により、従来は指針にすぎなかった旧建設省の「原状回復に関するガイドライン」が、東京都では事実上の法的拘束力を得たことになりました。都民にとっては、大変喜ばしいことです。 |
たとえば、経年劣化および通常使用による住宅の損耗等の復旧(壁に貼ったポスターや絵画の跡、日照などの自然現象によるクロスの変色、テレビ・冷蔵庫の電気やけ)は明確に賃借人の負担ではないとされ、不動産業者にその旨の説明義務が課されることになりました(義務を怠る業者には、指導・勧告・公表の措置が取られます)。
この点は全国に先駆けた画期的な条例といえるでしょう。 |
ただし、この条例・規則については、文言上不明確で誤解を招く点もあります。 |
条例・規則上(2条1項)は賃貸人と賃借人の合意で、上記と異なる特約を定めれば、その特約が効力を持つ旨の記載なされていますが、判例に照らしても、すべての特約が有効ではないのは当然です。暴利的とも言える賃借人に一方的に不利な特約は当然に無効となるのです。その点は本条例および規則2条3項に知事が「説明を適正に行うために必要な事項」を示すと規定されており、その知事が示した具体的な内容として、特約の効力(すべて有効になるのではない旨の言及)が含まれているのですが条例や規則だけをみると、あたかも、特約さえ定めれば、賃借人は過大な負担を負うかのように読めてしまいます。 |
不動産業者が条例の文言を逆手に取らないよう又一般の賃借人が文言を誤解しないよう、都が適切な指導や広報活動を行うことを期待するばかりです。 |
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参考資料
http://www.toshiseibi2.metro.tokyo.jp/tintai/310-0-jyuutaku.htm |